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[2014/12/10]

歌の力④ 歌のとびらを開いた出来事 健康・医学

認知症 89 歳の母との日々

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  • 連載コラム

「帰りたい、帰りたい」と訴え続ける母。だれだって入院なんか嫌です。まして、寂しがり屋で、しかも認知症になった身で、病院の生活はどんなに不安で心細かっただろうかと思います。

■懐かしい歌を歌って
入院する少し前のある日、私が仲間と高齢者施設に歌のボランティアに行ったことを母に報告し、試しに家で歌ってみたことがありました。
「おぼろ月夜」「椰子の実」などの懐かしい歌を母は小さい声で一緒に歌い、うれしそうでした。思い起こせば、この出来事は、それまで音楽とほとんど無縁だった母が「歌のとびら」を静かに開いた出来事だったのかもしれません。
しかし、命さえ危ない病気に見舞われた母が、この先、歌のおかげで画期的に好転するなど、入院中には、まだ想像もしていませんでした。

■高齢者施設で歌の輪
私は「チーム青りんご」という4人グループを組んで、高齢者施設で歌のボランティアをしています。終盤に演奏する「幸せなら手をたたこう」は、まるで特別なマジックのよう。手をたたく、足を鳴らす、肩をたたく、そして、最後は「幸せなら抱きしめよう」と、仲間の一人が歌いながら抱きしめて回ります。そのときの高齢者のみなさんのうれしそうな顔といったら! 広がる歌の輪、笑顔の輪…。思わず涙が出るほど感動的です。
家で母と歌った思い出、高齢者施設でのボランティア、その二つがやがて一つにつながっていくのでした。

編集委員橋本園子