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[2017/06/20]

名古屋の貞奴の家をたずねる 文化・スポーツ

旧川上貞奴邸と城山三郎の仕事部屋

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  • 地域特派員

地域特派員

アルテ

アルテ

昭和の生まれ。茅ヶ崎在住。 テレビを持たない生活を送っています。

名古屋にある旧・川上貞奴邸、二葉館に行ってきました。

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日本初の住宅専門会社「あめりか屋」設計の和洋折衷住宅「二葉御殿」

現在、茅ヶ崎市内で「開高 健・城山三郎二人展」が開催中(9月30日まで)ですが、城山三郎の資料は名古屋の二葉館からもお借りしているということでした。そこで初めて二葉館という名前を知ったのですが、たまたま名古屋の近くまで出かける機会があったので足をのばしてみることにしました。

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赤い屋根の洋館風

二葉館は、名古屋市内。名古屋城から徳川園に至る「文化のみち」と呼ばれるエリアにあります。このエリアには江戸から明治、大正へと続く名古屋の近代化の歩みを伝える多くの建物などの貴重な歴史遺産が残されていて、建築遺産の保存・活用が進められています。

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1階の大広間

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大広間の円形ソファ

二葉館=旧川上貞奴邸は、建物の一部が登録文化財、景観重要建造物になっています。大正時代に「日本の女優第一号」と言われた川上貞奴が居住していた和洋折衷の建物を、創建当時の姿に移築復元、「文化のみち」の拠点施設として開館しました。館内では、川上貞奴に関する資料や郷土ゆかりの文学資料を展示しています。この建物は、かつて東二葉町にあり「二葉御殿」の名で親しまれていました。

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大広間にある「サロメ」のステンドグラス

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展示室1(旧食堂)ステンドグラスは杉浦非水の原画をもとに作成された。

建物の1階には、マントルピースのある、螺旋階段の美しい広間や、貞奴の資料が展示されています。

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この階段から貞奴がおりてくる姿を想像してしまいます

洋風な大広間の奥には和室が続きます。

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展示室2(旧婦人室)

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展示室3(旧茶の間)

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展示室4(旧書斎)貞奴愛用の文机や座布団など

1階の一部は集会室(旧台所他)として一般の人の利用も可能になっていました。

2階には名古屋出身の文学者についての資料を集めたコーナーがあり、城山三郎が寄贈した仕事場の机や蔵書なども、貞奴の寝室だった部屋に展示されています。

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城山三郎の書斎

手にとって読むことができる図書資料も充実していて、城山三郎の仕事部屋で読書することが可能です。

訪れた時には、ちょうど2階展示室5(旧浴室、洗面所、化粧室だった場所)で、食の文化誌「あじくりげ」展が開催中でした(6月21日まで)。

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バックナンバーは持ち帰りできます

「あじくりげ」は1956年(昭和31年)名古屋タイムズ社から創刊された、東海地方の老舗の料理店や菓子店などに置かれていたB6サイズの月刊小冊子です。創刊号には尾崎士郎、江戸川乱歩など著名な文士らが筆をとり、画家の杉本健吉が表紙絵を飾りました。食に関する様々なコラムやエッセイなどが書かれた読みごたえのある内容でしたが、グルメ雑誌やインターネットの普及などもあり、惜しまれつつ2016年5月、60周年の節目に終刊が決まったそうです。

その「あじくりげ」2011年7月8月合併号に、岩崎宗治さん(名古屋大学名誉教授・英文学)の「城山三郎さんと魚と柿」という文章がありました。
城山三郎と食べ物のエピソードとして、特別に嫌いなものはなかったが尾頭付きの魚には「目が合ってしまうとかわいそう」という理由で箸をつけなかったという話が出てきます。

「あるとき、どこか立派な邸に招かれて、もてなしの一部として池で魚を釣る時間が設けられ、どうぞ楽しんでくださいと言われたことがあったらしい。顔のついた魚の食べられない城山さんは、魚を釣るという行為を自分に強いることができなくて、針に餌をつけないで釣り糸を垂らしていたと話してくれた。」

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二人展のチラシもちゃんと置いてありました

この文章を読んで、二人展のもうひとり、ワイルドなイメージの釣り好きの開高 健とは随分対照的な魚に対する態度だなぁ、と心優しい話にちょっとほっこりしました。

川上音二郎亡き後、女優引退後の川上貞奴の新天地、名古屋。
貞奴はこの地で「川上絹布株式会社」を設立します。電力王、福澤桃介とともに大正8年から6年間暮らした「二葉御殿」には桃介派とよばれる新興財界人たちが夜な夜な集まり、当時は珍しい電燈の元で酒食を楽しみ、時には素人芝居に興じたそうです。さながら名古屋の社交サロンとなった大広間のソファに身を埋めて当時の様子を思い描くのも楽しいことだと思います。
名古屋に出かけることがありましたらぜひ訪ねてみてくださいね。

 

文化のみち 二葉館  名古屋市旧川上貞奴邸

【所在地】名古屋市東区橦木町3-23
【電 話】052-936-3836
【開館時間】午前10時〜午後5時
【休館日】月曜日(祝日の場合は直後の平日)、12月29日〜1月3日
【入場料】大人200円
【駐車場使用料】1回300円(30分以内は無料)
http://www.futabakan.jp/how_to_use.html